【名古屋市】生活保護の金額はいくら?条件・申請の流れを解説

名古屋市 生活保護

「名古屋市の生活保護って、実際いくらもらえるの?」

「自分の収入や状況で申請できるのか知りたい…」

このように感じている方も多いのではないでしょうか。

生活保護は、最低限度の生活を保障し、自立を後押しするための制度です。名古屋市では、国の基準に基づき、年齢や世帯人数などに応じた支給額や条件が定められています。

この記事では、名古屋市の生活保護制度について、以下のポイントをわかりやすく解説します。

  • 名古屋市の生活保護の支給額(世帯別の具体例つき)
  • 生活保護を受けるための条件
  • 申請の流れや注意点

自分が対象になるかどうかわからないという方も、まずは制度の全体像を知ることからはじめてみましょう。

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Q1
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名古屋市の生活保護の概要

名古屋市では、国の基準に基づき、年齢や世帯人数などに応じた最低生活費が定められており、その額を下回る収入しかない場合に生活保護を受給できます。

また、生活保護には複数の種類があり、生活状況に応じて必要な支援が行われます。なかでも中心となるのが、日常生活に必要な費用を支給する「生活扶助」と、家賃などの住宅費を補助する「住宅扶助」です。

ほかにも、義務教育の学用品などを支援する「教育扶助」や、医療費を支給する「医療扶助」、介護・出産・就労・葬祭などを目的とした扶助もあります。

必要に応じて、これらの扶助が組み合わされて支給されることを覚えておきましょう。名古屋市の住宅扶助について詳しく知りたい人は、以下の記事もチェックしてみてください。

名古屋市の生活保護の家賃上限は?家賃相場や注意点も解説

【ケース別】名古屋市の生活保護の支給額

ここでは、単身者やひとり親世帯などの代表的なケースごとに支給額の例を紹介します。

なお、なお、ここで紹介する支給額はあくまで一例であり、実際の支給額は年齢や世帯構成、住居の状況、健康状態など個々の事情によって異なります。

正確な金額を知りたい場合は、お住まいの地域を管轄する福祉事務所に相談することをおすすめします。

単身者

単身世帯の場合は、年齢や健康状態などにより支給額が変わります。名古屋市の高齢単身者(68歳)の場合は、以下のような支給内容となります。

項目金額(円)
生活扶助Ⅰ類+Ⅱ類74,250円
経過的加算1,630円
特例加算1,000円
小計76,880円
住宅扶助37,000円
合計支給額(月額)113,880円

なお、冬季(11〜3月)には、暖房費などに対応するため、生活扶助に冬季加算として2,630円が加わる点も覚えておきましょう。

出典:名古屋市|令和5年度(令和5年10月以降)の最低生活費(モデル世帯)について

2〜5人世帯

2〜5人世帯の場合、親と子ども、それぞれの年齢に応じて支給内容が異なります。仮に3人世帯(33歳・29歳・4歳)だった場合の支給額は、以下のとおりです。

項目3人世帯(33歳・29歳・4歳)
生活扶助Ⅰ類+Ⅱ類148,560円
経過的加算1,340円
特例加算3,000円
児童養育加算10,190円
住宅扶助(上限)48,000円
合計支給額(月額)211,090円

なお、住宅扶助の上限額は「3人以上の世帯」で一律48,000円と定められており、家族が増えても上限は変わりません

そのため、4人・5人世帯の場合は、広さや間取りの条件を満たす住まいをこの金額内で見つけるのが難しくなることもあるため、注意が必要です。

出典:名古屋市|令和5年度(令和5年10月以降)の最低生活費(モデル世帯)について

ひとり親世帯

ひとり親世帯の場合も、世帯構成や子どもの年齢に応じて支給内容が異なります。

たとえば、母親(30歳)と小学生の子ども1人の2人世帯の場合、以下のような支給額になります。

項目金額
生活扶助Ⅰ類+Ⅱ類119,310円
経過的加算890円
特例加算2,000円
母子加算18,800円
児童養育加算10,190円
教育扶助2,600円
住宅扶助44,000円
合計支給額(月額)197,790円

ひとり親世帯には、通常の生活扶助に加えて、主に「母子加算」や「児童養育加算」が支給されます。

母子加算は、ひとり親であることにより発生する「かかりまし経費」(育児や生活の負担が増えることによる費用)を補うための加算です。母親・父親のどちらが養育していても対象になります。

また、児童養育加算は、学校外活動費や育成に必要な費用を補助する目的で、18歳までの児童1人につき10,190円が支給されます。また、一定の条件を満たす場合には、さらに経過的加算も加わる場合あります。

出典:名古屋市|令和5年度(令和5年10月以降)の最低生活費(モデル世帯)について

障がい者

障がいを持つ方が生活保護を受給する場合、基本的な生活扶助に加えて「障害者加算」が支給されます。

これは、居住環境の改善、点字新聞の購読など、障がいにより生じる追加的な費用を補うための制度です。

具体的な加算額は障害等級や生活状況に応じて、以下のように定められています。

障害等級・状態加算額(月額)
身体障害者(1・2級)26,810円
身体障害者(3級)17,870円
入院中(該当条件ア)22,310円
入院中(該当条件イ)14,870円

※ 条件ア:病院等に1か月以上入院している場合
※ 条件イ:救護施設や特別養護老人ホーム等から入院している場合

たとえば、ひとり親家庭で子どもが身体障害者等級1級に該当する場合、以下のような支給例になります。

項目金額
生活扶助Ⅰ類+Ⅱ類119,310円
経過的加算890円
特例加算2,000円
母子加算18,800円
児童養育加算10,190円
教育扶助2,600円
住宅扶助44,000円
障がい者加算(子ども1級)26,810円
合計支給額(月額)224,600円

なお、障がいの種類や状態によっては、以下のような加算も適用されることがあります。

  • 介護施設入所者加算:理美容品・嗜好品・娯楽費などの裁量的経費を補助
  • 在宅患者加算:結核や長期療養患者に対して、栄養補給等を補助
  • 放射線障害者加算:被ばくによる疾患に対する補助

症状の程度や生活環境に応じて支給内容は異なるため、申請時には医師の診断書や障害者手帳など、該当を証明できる資料を準備することが重要です。

必要に応じて福祉事務所に相談し、適切な加算が受けられるようにしましょう。

出典:厚生労働省|2023(令和5)年4月1日施行 生活保護実施要領等

名古屋市で生活保護を受給できる条件

生活保護は、単に収入が少ないだけでは受けられません。名古屋市で生活保護を受給するには、収入・資産・扶養関係など、いくつかの要件を満たす必要があります。

収入が最低生活費を下回っている

生活保護は「世帯単位」で適用され、世帯全体の収入が国の定める最低生活費を下回っていることが基本的な要件です。

最低生活費とは、年齢や世帯人数によって定められた、健康で文化的な生活を営むために必要とされる基準額です。

この最低生活費と就労収入や年金、手当などの収入を合算して、受給可否や受給額を判断します。

もし収入が基準額を超えている場合は、原則として生活保護を受けることはできませんが、収入が不安定であったり医療費などの支出がかさんだりする場合には、補足的に支給されることもあります。

資産や貯金が一定額以下である

生活保護を申請する際は、預貯金や株、不動産、自動車などの資産状況も確認されます。原則として、生活に使える資産がある場合は、まずそれを生活費に充てる必要があります。

ただし、すべての資産が対象となるわけではありません。たとえば、生活に欠かせない住居や通勤・通院のために必要と認められる自動車については、保有が認められるケースもあります。

資産を処分せずとも生活保護を受けられるかどうかは、個別の状況によって判断されます。

親族からの援助を受けられない

生活保護制度では、親や子などの扶養義務者から援助を受けられる可能性があるかどうかも審査対象になります。

具体的には、生活保護を申請すると、福祉事務所から扶養照会が行われ、親族に援助が可能かどうか確認されます。

ただし、扶養義務者に援助を強制することはなく、援助が難しいと判断された場合や援助の額が少ない場合には、それを理由に生活保護が受けられなくなることはありません。

あくまで「可能な範囲での援助」を前提としており、支援が受けられない場合には、公的な支援に切り替えることになります。

名古屋市で生活保護を申請する流れ

名古屋市で生活保護を申請するには、主に「相談」「申請」「調査・決定」という3つのステップがあります。ここでは、具体的な手順と注意点をわかりやすく解説します。

福祉事務所で相談する

まずは、生活に困っている状況をお住まいの区の福祉事務所(または支所)に相談しましょう。入院中などで本人が行けない場合は、家族や親族などが代わりに相談することも可能です。

相談時には、収入や資産の状況、健康状態、就労の可能性、扶養義務者との関係などが確認されます。生活保護の対象となるかどうかを判断するために、具体的な生活状況を詳しく伝えることが重要です。

生活保護の申請を行う

相談の結果、申請が適当と判断された場合には「生活保護申請書」を提出します。申請できるのは本人のほか、同居している親族や扶養義務者(子、配偶者、親、兄弟姉妹)などです。

申請書には、必要事項を記入して提出します。原則として本人の意思による申請が必要ですが、急を要する場合などは例外も認められています。申請日が決定日や支給日を左右するため、早めの行動が重要です。

申請後の調査と決定

申請後は、福祉事務所のケースワーカーが自宅や入院先を訪問し、生活状況の聞き取りや現地調査を行います。

また、預貯金・保険・不動産などの資産、年金や手当などの社会保障、就労状況、扶養義務者からの援助の可否などもあわせて確認されます。

これらの調査結果をもとに、生活保護の支給が「開始されるか」「却下されるか」が判断され、文書で通知されます。原則として申請の翌日から起算して14日以内に決定されますが、調査に時間がかかる場合は最長で30日以内となることがあります。

名古屋市の生活保護に関してよくある質問

名古屋市で生活保護を申請・受給するにあたって、よく寄せられる疑問をまとめました。働いている場合や持ち家がある場合の可否、申請が却下された際の対応について解説します。

生活保護を受けながら働ける?

はい、働いていても生活保護を受けることは可能です。たとえば、就労収入があってもその金額が厚生労働省の定める最低生活費に満たない場合、足りない分が生活保護費として支給されます。

このときは、世帯の収入全体から基準となる最低生活費を差し引いた「差額」が保護費として支給される仕組みです。また、一定額までは収入控除があるため、働いた分がすべて差し引かれるわけではなく、就労意欲を損なわない制度設計となっています。

持ち家があっても生活保護は受けられる?

持ち家がある場合でも、生活保護を受けられる可能性はあります。住宅が生活の本拠地であり、売却や賃貸が現実的でないと判断される場合には、持ち家の保有が認められるケースもあります。

ただし、持ち家の処分価値が高いとされる場合は、その資産を生活費に活用するよう求められることもあります。また、住宅ローンが残っているからといって申請が却下されるわけではありませんが、生活保護費からローンを返済することは認められていません

原則として、ローン返済は自己資金で行う必要があります。

申請が却下された場合の対処法は?

生活保護の申請が却下された場合でも、適切な対応をとることで再審査を求めることができます。具体的には、「行政不服審査法」に基づいて、名古屋市長などを審査庁とする「審査請求」を行うことが可能です。

この制度は、国民の権利救済と行政の適正な運営を目的として設けられており、誰でも簡単かつ迅速に不服申立てができるようになっています。

申請却下の通知を受け取ったあとは、速やかにお住まいの区の保健福祉センター福祉部民生子ども課、または支所区民福祉課に相談することをおすすめします。必要に応じて、地域の無料法律相談や支援団体の活用も検討しましょう。

生活に不安を感じたら、まずは制度の活用を検討しましょう

名古屋市の生活保護制度は、経済的に厳しい状況にある方が最低限度の生活を守り、再び自立を目指せるようサポートする仕組みです。

本記事では、支給額の目安や受給条件、申請のステップを解説してきましたが、「自分が対象かどうか分からない」という方も少なくないでしょう。しかし、生活保護は特別な制度ではなく、誰もが利用できる公的な支援です。

少しでも不安を感じたら、まずは最寄りの福祉事務所や信頼できる支援団体に相談してみてください。制度を知ることが、生活を守る第一歩につながります。